レザークラフトを始めて、手縫いや金具の取り付けにも慣れて作れる作品が広がってきたら、次にチャレンジしたいと思うのが革の染色です。
一般的に加工していないヌメ革はベージュ色をしています。
革っぽい雰囲気を漂わせ、エイジングも楽しむことができるのでこのベージュ色で作品を作っても良いですが、作品の幅をさらに広げるためには染色が必要になってきます。
レザークラフトで革を染色するときに使用する染料としてもっとも有名なのが、クラフト社が販売しているクラフト染料です。レザークラフト用の道具を多数販売しているクラフト社が販売する染料で安心して使うことができます。
今回はこのクラフト染料の黒を使って実際に革を染めてみた方法を紹介します。
染めるのは基本的にヌメ革!
革を染める時に気をつけるポイントとして革の種類があります。
革は大きく分けてクロムなめし革とタンニンなめし革の2種類がありますが、染色できるのはタンニンなめし革の染色・加工をしていないもの、いわゆるヌメ革を使います。クロムなめし革は、吸水性が低く水が浸透しにくいため、自分で染色するには向いていません。また、タンニンなめし革でもすでに染色していたり、オイルやレザーコートで表面を加工している場合は染料が染み込みにくいため向いていません。
レザークラフトで一般的に使われるのがヌメ革であるため、特に問題ないと思いますが行う前に革の種類を確認しておきましょう。またヌメ革でも染まりやすさに違いがあるので実際にやってみて臨機応変に対応していきましょう。
革を染めるために使うクラフト染料とは?
前述した通り、レザークラフトにおいてもっとも有名で気軽に行うことができるのがクラフト社が販売しているクラフト染料ではないでしょうか。
Amazonで購入すると合わせ買い対象で1色100cc410円程度であります。また上記のように15ccずつがセットになったお試しセットも販売しています。ただし、高い(1800円くらい)するので、個別に欲しい色のクラフト染料とレザーコートを購入するほうがオススメです。
種類:塩基性染料
特徴:タンニン鞣し革と特に相性が良く、皮革表面に先着し鮮やかに発色する。透明感ある色合いで混色や重ね塗りが自在。ベタ染のほか、繊細なグラデーションなど多彩に表現できる。薄める際は水を使用する。
クラフト染料:ボトルの記載より
塩基性染料、つまり水溶性の染料になります。
染料を薄める際に無水エタノールではなく、水で薄めることができるため、扱いがたやすく気軽に使うことができます。水溶性の染料であればクラフト染料以外でも問題ないと思いますがまずはこのクラフト染料を試してみるのが1番です。
またクラフト染料と一緒に必要なのがレザーコート、いわゆる色止め剤です。染色しただけでは、バッグや服などが擦れた時に色移りしてしまう可能性があります。これを防ぐために染色した後には色止め剤としてレザーコートを塗ります。
レザーコートの正体はアクリルです。表面をアクリルコーティングするため、色落ちを防止すると共に革に光沢を与えます。光沢を与えたくない場合は、レザーコートマットという商品があります。
今回はレザーコートを使って作りましたが、思っている以上に光沢が出てしまったので次はレザーコートマットを買って使ってみようかと思っています。まだどちらも持っていなくこれから買うという人はこの後の画像を参考に選んでみてください。
革の染め方
ではさっそく革を染めていこうと思います。今回用意した道具はこちら。
クラフト染料、レザーコートのほか、クラフト染料を出すための皿、塗るための刷毛、新聞紙、布切れ、そして試し塗りのハギレです。(これ以外に後から追加で試した革も登場します。)
まずはクラフト染料をさらに出します。100均で買った小皿に水を入れてからクラフト染料を入れます。比率は水:染料=1:1くらいがおすすめです。後ほど画像を載せますがクラフト染料のボトルに記載されているベタ塗りの際の目安4〜5倍で薄めた場合、薄すぎてうまくいきませんでした。ストレートでもいいくらいです。
次に刷毛を使って水と染料をしっかりと混ぜ合わせます。そしてそのまま刷毛を使って革に塗っていきます。
革に塗るときは刷毛をできる限りゆっくり動かして、染料が革に染み込んでいくようにします。早く動かしてしまうとムラになってしまうことが多いので丁寧に塗っていきましょう。
これが1度塗ったときの写真です。
この革は表面が何も加工されておらず、染料が染み込みやすかったため、1度塗っただけでかなり染まりました。
あとはこれを何度か繰り返してしっかりとムラなく染まるようにしていきます。また、吟面だけでなくトコ面にも刷毛で塗っていきます。トコ面の方が染まりやすいです。ただし、毛羽立っているので丁寧に塗らないと塗り残しも起きやすいので気をつけて丁寧に塗っていきましょう。
そして、最後はレザーコートを一塗りします。これが一番難しい!
レザーコートを塗ると表面がアクリルでコーティングされます。塗るタイミングでは乳白色の液体ですが乾くことによってコーティングされます。そして、コーティングされたあとはレザーコートを上塗りしてもその上にまたコーティングされるだけです。このため、上塗りするとその部分だけ厚くなったり、ムラになります。
下記の写真はレザーコートを塗った革(上)と塗っていない革(下)になります。写真では分かりにくいですが実物はかなり光沢があります。
以上で革の染色は完了です。特に難しいことはなく、丁寧に進めていけば誰にでも簡単にできると思います。前述した通り、一番の難関はレザーコートなので意識して気をつけて塗りましょう。
革によって染まりやすさは違う
上記の革は1度でかなり染まりましたが、ヌメ革の中でも染まりやすさ、染まりにくさがあります。
これは同じ濃度(1:1)で薄めた染料で別のヌメ革を染めたときの写真です。先ほどのヌメ革は1度で吟面もある程度染まったのに対してこのヌメ革はムラができあまりきれいに染まりませんでした。
ただし、複数回塗っていくことによってしっかりと染まりました。
このようにしっかりと黒に染めることができました。革質によって染まりやすさに違いがありますがしっかりと染めることができました。
失敗したときの話:薄めすぎた
革の染色ですが、初めてやった際は失敗しました。
原因はクラフト染料を水で薄めすぎたからです。4〜5倍程度と書いてあったので記載通りに薄めたつもりでしたが、かなり薄まってしまい何度も重ね塗りしてもきれいに染まりませんでした。
5〜6回塗ったあと
少しずつ染まっては行きますが、ムラができやすいように思います。
なので、薄めても1:1、塗るスペースが少ないのであればストレートでもいいのではないかと思います。
まとめ
クラフト染料で革を染めるのはやってみると簡単です。革を染めることができれば作品の幅を大きく広げることができます。
最後に今回の染色を使って作った作品を紹介します。
元々はベージュのヌメ革をクラフト染料の黒で染めてカードケースを作りました。特に色ムラはなく作品に活かすことができました(作った工程は今度紹介します)
染色は作品の幅を広げることができるので革の手縫や金具を使った作品作りに慣れてきたらぜひチャレンジしてみましょう。