この記事は”シンプルカードケースの作り方“の保存版になります。
初めてカードケースを作る人がこのページを見るだけで作成することができるよう、できる限り手順ごとに細かく説明しています。作品作りの参考になればと思います。
※PCから閲覧することを考えて書いていますのでスマホからでは読みにくいかと思います。ご了承ください。
不明点等がありましたら、お気軽にtwitterなどでご連絡ください。
カードケースとは?
カードケースとは、クレジットカードやポイントカードを持ち運ぶために使うものです。
財布にも複数のカードケースがついているため、カードケース単体で持ち歩くという人はあまり多くありませんが、ポイントカード類をまとめて入れておいたり、あるいはパスケースとして交通系のカードやコンビニで使える電子マネー系のカードを分けておくなど、様々な方法で利用することができます。
カードのサイズは発行元によって自由に決めることができますが、あまりに特異なサイズでは利用者が使いにくいことから多くの発行元ではISO規格、またはサイバネ規格に準拠して以下のサイズになっています。
ISO:85.60 × 53.98 × 0.76 mm
サイバネ規格:85.0 × 57.5 × 0.25 mm
つまり、カードケースを作る場合は上記の2つが入るサイズとして”86 × 58“を基準にして考えていくことになります。
カードケースを作るのは裁断と手縫いが基本であり、バネホックやカシメなどの金具を使わないため、初心者でも作りやすいアイテムになります。
また今回はカードケース第一弾としてマチなし2ポケットのシンプルなカードケースを作成しますが、より多くカードを入れたい、名刺入れにしたいなどの場合はマチをつけたり、ポケット数を増やすなど、機能面の工夫が楽しめるのもカードケースのいいところです。
シンプルカードケースの作り方
用意する道具と材料
1.ヌメ革(10.6cm×14cm) 、2.ヌメ革(10.6cm×5cm)×2 、3.ゴムハンマー(木槌)、4.革包丁(カッター)、5.ゴム板、6.ロウ糸、7.針、8.菱目打ち、9.両面テープ
あと写真に載せ忘れてしまいましたが、10.トコノールが必要になります。さらにサイビノール(両面テープの代わり)、ネジ捻があると作りやすくなります(必須ではない)
今回は実用性には?な2ポケットのカードケースを作ります。
まずはシンプルな作り方を覚えて、3ポケットや4ポケット、マチ付きのポケット、デザインを入れたカードケースなど難易度を上げていきましょう。
製作手順
型紙を用意する
まずは型紙を用意します。
型紙を用意する方法には①書籍の付録、②WEB公開、③オリジナル制作の3つがあります。
今回はこのサイトで公開している型紙を作って制作していこうと思います。良ければご自由にお使いください。
※ご利用は自己責任でお願いします。
印刷したPDFはA4普通紙では薄く強度がないため、固紙(ボール紙)に貼り付けて強度を高めます。
直接固紙に印刷することができれば一手間省けます。
ケース部分の革は2枚必要ですが、型紙は使い回すため1枚で大丈夫です。
2.型紙に合わせて革を裁断する
型紙に合わせて革を裁断します。今回は10.6cm×14cm×1枚と10.6cm×5cm×2枚の合計3枚を用意します。
カードケースが初心者向きな理由として裁断が多少ずれていてもあとから調整しやすい点があります。コバ処理のタイミングで揃えればある程度見栄えが良くなります。
トコノールを塗る場合は、このときに手縫後に塗ることができないトコ面と小さい革のコバ(1辺)に塗って磨いておきましょう。
大きい革のコバ、小さい革の3辺の革は最後に磨くことができます。
垢枠で囲った部分はあとからコバ磨きをすることができないため、先に磨いておきます。コバ磨きについてはおすすめをこちらにまとめているのでよければご確認ください。
水を丁寧に塗らないと写真の下の革のようにシミのようになってしまいます。
3.本体の革とカードケースを仮止めする
次に本体の革とカードケースを張り合わせていきます。菱目打ちで穴をあける際に2つの革がずれないように両面テープで仮止めします。
今回は両面テープを使いましたが、両面テープではわずかに厚みができてしまうのでサイビノールがあればサイビノールの方がおすすめです。
4.革を縫い合わせる
革を縫い合わせていきますが、まずは穴をあけるための位置をネジ捻やステッチングルーバーなどでガイドラインを引きます。今回は端から5mmにネジ捻でラインを引きました。
また今回は菱目打ちではなく菱目パンチを使って穴をあけるため、内側にもラインを引きました。菱目パンチを使う場合は両面にラインを引いた方が綺麗にあけることができます。(もちろん、菱目打ちでも大丈夫です)
菱目パンチについての紹介は以下の記事をご参考にどうぞ
今回は周囲全体を縫い合わせます。カードケースとカードケースの間の本体側しかない部分は縫い合わせなくても良いです。完成系を想像しながら自分の好みで縫う(穴を開ける)かを検討してください。
全周縫い終わるとこのような感じになります。革の色に近い糸を選んでいるため糸が目立たずコントラストがないため、穏やかな印象のカードケースになりました。
内側はこのような感じです。トコ面が見えているのが嫌だという人は本体を2枚重ねて内側からも吟面が見えるようにします。
またカードケースと本体をつなぐ赤丸の部分は力がかかるため、頑丈にするよう縫い返して二重にします。
5.コバ処理を行う
コバ処理を行います。綺麗に裁断できていればいいですが、慣れないうちは写真のように本体側とカードケースが合わず段差ができていますので、革包丁で切ったりヤスリで削って調整します。
作品の出来に関わってくるのでここは丁寧に行いましょう。紙やすりは120番くらいから始めて1200番くらいまで使うといい感じになります。2000番くらいまで使えばかなり納得できると思います。
そして水とトコノールでさらに磨けば触り心地も滑らかになり、見た目も引き締まってきます。
コバ磨きについてはこちらの記事を参考にしてみてください。
6.完成
以上で完成になります。
ただし、このままでは平らに伸びてしまっているため、中央で折り曲げてカードケースの形にします。折り曲げて使っていくうちに形付いていきますが最初は重石を乗せて一晩おくなど、形付けてあげると使いやすいです。
ということで完成したのがこちら。
見た目は普通のカードケースを遜色ありません。2ポケットなのでポケット数が多いカードケースよりも少しスリムでスーツの裏ポケットなどに入れやすいサイズになっています。
中もカードがしっかりと入るサイズ。
最初に紹介したようにカードのサイズは高さがだいたい54mmです。50mmのカードケースに端から5mmを縫っているため、カードが隠れるのがだいたい45mm程度になり、1cmほど頭が出るので取り出しやすい形になります。
初心者が練習に作るには丁度いいアイテムだと思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。
ただ、2ポケットというのはちょっと味気ないかなー、という気がします。実用性も低いですね。。。ということで次は実用性も高いカードケースを近いうちに作ってみようと思います。
カードケースの作り方 | 保存版(中級) 3ポケット マチ付き(準備中)