レザークラフトで作品を作るときに最後に行うコバ磨きは、作品の仕上がりに大きく影響を与えます。コバ磨きをしっかりと行わないとせっかく作った作品がみすぼらしく見えてしまいます。逆にコバ磨きが綺麗にできているとそれだけで作品の出来がよく見えます。
こんな重要なコバ磨きですが、人によってやり方は様々。
初心者向けの本を読んでみると”磨き剤(トコノールやトコフィニッシュ、CMC)を塗ってスリッカーで磨く“と書いてありますがそれだけではわからないのではないかと思います。
ということで今回は私がやっているコバ磨きの方法を紹介したいと思います。
コバ磨きは水で磨くことが重要!
まず言いたいのがコレ!
「コバ磨きは水で磨くことが重要!」
ということです。
本などではトコノールやトコフィニッシュで磨くことが重要であると書いてあり、水を含ませることがあまり書いていないのは不思議に思います。個人的には水で濡らしてから磨くことが重要であると感じています。
なので私がやっているコバ磨きの手順は以下になります。
①ヘリ落としで角を切り落とす
②水で濡らしてスリッカーで磨く
③トコノールを塗ってスリッカーで磨く
実際の手順を紹介
ということで実際に試してみたいと思います。
コバ磨きは最後の工程になることが多く、手縫後に行うことがほとんどですが今回は紹介ということでハギレをサイビノール600で張り合わせた革を使用します。
⓪事前準備
まずは革を準備します。本来であれば作品作りの工程であるため、わざわざ準備する必要はありませんが今回は試しということでハギレから用意しました。どのように準備したかを参考までに。
まずはサイビノールで貼り合わせるため、ハギレのトコ面をヤスリで荒らします。荒らさなくても貼り付けることはできますが、荒らすことによって効果的に接着することができます。
荒らした後はサイビノール600を塗って張り合わせます。
そして、張り合わせます。この状態ではコバが荒れているのがわかると思います。
さて、ここからがコバ磨きの始まりです。
①ヘリ落としで角を切り落とす
まずはヘリ落としを使って縫い合わせた面の角を落とします。このヘリ落としを行うことによってコバが磨いた後に綺麗な丸みをもってくれるようになります。
この時点ではまっすぐ切っただけなので角ばっていますが磨いていくうちに丸みを帯びてくるので大丈夫です。ヘリ落としは角度を変えないよう固定して押すことが重要になります。
②水で濡らしてスリッカーで磨く
次は水で濡らしてコーンスリッカーやウッドスリッカーを使ってコバを磨きます。
まずは水をつけます。このとき、できる限り革の吟面には水がつかないように注意しましょう。シミの原因になります。
そして次にコバを磨きます。コバと机などの角を合わせて磨いても良いですし、下記の写真のように手に持って磨いても良いでしょう。ただし、力を入れすぎると革が変形してしまう場合があるため、変な方向に力が入らないよう丁寧に行います。
下記のようにコバが磨かれたのがわかります。
写真だと分かりづらいですが表面はかなり滑らかになっており、これだけでも出来として十分なように思います。
③トコノールを塗ってスリッカーで磨く
水だけでもかなりいい出来まで持っていけますが、さらに綺麗にするため&強くするために磨き剤(トコノールなど)をつけて、コーンスリッカーなどで磨いていきます。
トコノールを塗る際も、水をつけるときと同様に吟面にはつかないように気をつけましょう。
下記がトコノールで磨いたあとの写真になります。
あとはまだ少し濡れているので乾かせば完成です。
この状態で満足できない場合は、細かい紙やすり→コバ磨きという工程を紙やすりの番数をあげつつ繰り返していきます。ただし、紙やすりで削るとわずかですが小さくなっていくので気をつけましょう。
トコノールなどの磨き剤でコバ磨きをしても上手くいかない、という人は水をつけて磨いてみてください。それだけでかなりいい感じになると思いますよ。